4学協会共催シンポジウム


2016年3月13日(日) 11:00〜17:10
関西大学 千里山キャンパス



シンポジウム概要

 現在運用されている国際宇宙ステーション(ISS)は2024年で終了し,ポストISSとして国際連携による月や火星への有人探査計画が掲げられています。これを実現するためには,人類が宇宙空間あるいは惑星で長期居住するための多くの課題を解決しなければなりません。宇宙空間での生命維持技術やエネルギー利用技術等,種々の要素技術の開発,またこれら要素技術のシステム化は必須であり,化学工学が多大な貢献を果たせるものと思います。
 本シンポジウムでは,宇宙に関わる著名な研究者の方々のご講演,また化学工学会員とのパネルディスカッションを通して,宇宙惑星居住の実現に向けての現状の課題と今後の展望について議論したいと思います。



基調講演:宇宙に生きる

JAXA 宇宙医学生物学研究グループ長
古川 聡 氏
(訓練など,やむを得ぬ事情により講演者が変更する可能性があります.)


宇宙居住のための生命維持と植物科学

日本宇宙生物科学会理事長
東北大学大学院生命科学研究科 教授
高橋秀幸 氏

人類の長期宇宙滞在のためには、地球とは異なる重力・放射線・大気環境の中に持続的生命維持システムを構築する必要がある。その生命維持システムでは、植物がエネルギー(食糧)生産系、酸素や二酸化炭素や水等の物資循環系、癒し系で大きな役割を果たす。シンポジウムでは、宇宙実験の成果を交えながら、地球環境に適応して生活する植物の機能を理解し、その効率的な活用によって宇宙空間・地球外惑星に居住基盤を見出すための課題を考える。


第一原理計算に基づく物質の起源と
生命痕跡の探求

筑波大学大学院数理物質科学研究科 教授
重田育照 氏

近年、数多くの系外惑星が発見され、また、ALMAやすばるなど国際連携研究プロジェクトが確立しつつあり、今後益々、宇宙における物質の起源や生命痕跡のデータが蓄積されてゆくのは間違いない。それらの観測とともに、第一原理計算による観測データの理解や理論予測は、ここ数年格段に進歩している。本発表では、近年我々が行っている、第一原理計算を用いた宇宙生命科学分野の研究例、および、本学が中心となる宇宙生命連携拠点の活動を紹介する。


日本の宇宙実験史抄

日本マイクログラビティ応用学会会長
理化学研究所事業開発室 室長
石川正道 氏

日本の宇宙実験計画は、1979 年にスタートした。この計画の眼目は、第1に有人宇宙実験計画であり、第2に微小重力という宇宙の際立った特性を利用した宇宙環境の産業利用にあった。宇宙空間での材料実験という夢に向かって、人工雪の実験、高品質大型単結晶の作製、無容器実験、拡散・マランゴニ対流実験、結晶成長その場観察、燃焼実験など、どれをとっても微小重力環境でしかできない、多くの独創的な研究が考案され、実施された。これまでの重要な実験成果を俯瞰し、次なる10〜20年を見据えた宇宙環境利用の在り方を考える。


宇宙環境を利用した科学の今後の方向性

JAXA 宇宙科学研究所 教授
稲富裕光 氏

宇宙環境利用に関わる研究者が今後、学際領域としての科学を確立し、宇宙における人類の発展を総合的に図るためには、従来から研究されてきた自然現象の普遍性・多様性の理解の深化のみでは不十分である。それらの知見に立脚しつつ、応用科学、さらには人間科学や社会科学とも連携して英知を結集し、地球から遠く離れた宇宙空間、惑星における人類の長期居住を目指す「宇宙惑星居住科学」の推進が必要と考える。本講演では、宇宙科学・探査の現状、月・火星での人類の長期滞在の実現に向けたJAXAの取り組み、そして化学工学会と宇宙環境利用科学関連学協会の連携がもたらすであろう本分野の将来ビジョンを紹介する。


パネルディスカッション
宇宙惑星居住の実現に向けての
現状の課題と今後の展望



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